レナード・コーエン「ハレルヤ」(Hallelujah)

レナード・コーエン(Leonard Norman Cohen)はカナダのシンガーソングライター・詩人・小説家ですが、私たちの国ではシンガーソングライターとして知られています。今日紹介するのは多くのアーティストからカバーされているのでご存じかもしれませんが、1984年「哀しみのダンス」(Various Positions)に納められていた「ハレルヤ」(Hallelujah)です。

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この歌詞には

You saw her bathing on the roof
水浴する女を見たお前は
Her beauty and the moonlight overthrew you
その美しさと月光に打ちのめされた

とありますし、旧約聖書の「サムエル記」からヒントを得て作られたモノであることは容易に判断出来ますが、サムエル記とは・・・

ある日の夕暮、ダビデは王の家の屋上を散歩していて、ひとりの女性が身体を洗っているのを見つける。その女性はあまりに美しくダビデは人を使って探らせ部下ウリヤの妻 "バトシェバ" であることを知る。

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(バトシェバの入浴)

ダビデはバトシェバと関係しバトシェバは子を宿す。懐妊の報告を受けたダビデはウリヤを戦場から呼び戻し自宅で休養させようとする。しかしウリヤは戦いの最中、自分だけが妻の下に帰ることを拒否し王宮に留まることを選択する。子の父親が自分でないとする策略に失敗したダビデはウリヤを激しい前線に送り出し戦死させ、バトシェバを王宮に迎え妻とする。この事実を見届けた預言者ナタンはダビデのもとに来てある物語を語り聞かせる。それは「豊かな男と貧しい男の物語で、貧しい男は一匹の雌の小羊しか持たず我が子のように愛し寝食を共に過ごしていたが、ある日、裕福な男に来客があってそのもてなしの為に彼は自分の家畜を惜しみ貧しい男の小羊を取り上げ客に振る舞う」というもの。この話を聞いたダビデは激怒し "そんな事をした男は死罪だ!" というが、怒りに燃え盛るダビデを見てナタンはいう "その男はあなただ"。(サムエル記下11章12章)

というもので、つまり裕福な男に死罪だといったのも、バトシェバを奪いウリヤを殺害したのもダビデであり、正しい判断もするが自分自身も罪人・・・人は常にそうした矛盾を持ちながら、誤った行いや判断をしてしまうもの・・・という戒めとして書かれたものではないかと思っていますが、ではこの歌の場合はどうでしょう?

この歌については色々な解釈がされていて、難解だというイメージを持っている方も多いように思われますが、個人的にはそうではなく・・・ふとしたことから恋が芽生え夢中になってしまうものの、付き合うにつれ色々問題に直面し気持ちが離れてしまい最終的に別れが・・・というように悲しい男の物語をサムエル記を重ね詩的に綴ったもの・・・そんな風に思います。


ちなみにイギリスの著作権に関する音楽団体〈PRS for Music〉が "泣ける曲" を男性に限って募集したところ、この曲が第3位だったそうですが・・・私にとっては当然第1位です。

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